文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」への補助金取り消しに対する抗議声明
 
 
 
文部科学大臣 萩生田光一様
文化庁長官 宮田亮平様
 
文化庁はすでに採択されていた「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金の不交付を決定しました。この決定は、文化事業が違法な脅迫によって中断に追い込まれてしまった事態を文化庁が容認し、さらに被害側である同トリエンナーレを苦しめ、加害側に利するものです。近年のいわゆる「嫌韓」の動きの高まりを容認するようなこの文化庁の決定は、多様で豊かな文化を目指す芸術活動を阻害し萎縮させる行為であり、けっして看過できません。私たち「引込線2019実行委員会」は芸術祭開催に取り組む組織として、また広く芸術活動に携わる個々人として、文化庁のこの決定に対し強く抗議し、撤回を求めます。
 
文化庁の文化芸術推進基本計画は、「文化芸術の「多様な価値」を活かして、未来をつくる」ことを理念として掲げています。世界に多様な価値をもたらすことは、まさに芸術が担う社会的な役割です。そして「多様な価値」を生み出すためには、既存の価値観を批評的に検証していくことが欠かせません。既存のイデオロギーや社会的なタブーを俎上に載せ、さまざまな視点から批判的に検証することは、芸術が「多様な価値」を生み出していくために不可欠です。芸術を構成するさまざまな要素の一部分だけを取り出し、それに対する偏った判断のみを強調することは、文化の多様性を失うことにつながってしまいます。
 
しかし今回の件でもっとも重要なことは、威嚇や脅迫という暴力、そして明確な犯罪行為によって芸術文化が妨害され、中断に追い込まれたことです。文化庁はそのことをしっかり認識しなければなりません。文化庁は、展覧会が計画通り実行できなかったことを補助金不交付の理由の1つとしているようですが、「あいちトリエンナーレ2019」の一コーナーである「表現の不自由展・その後」が公開中断になった原因は違法な脅迫にあるのであって、「あいちトリエンナーレ2019」の運営にあるのではありません。違法な脅迫が引き起こした騒動の責任を、被害を受けた側にかぶせるようなことがあってはなりません。文化庁が守るべきは文化であり、戦うべき相手は文化をおびやかす暴力です。
 
「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金の不交付の決定後、数多くの文化芸術に関わる組織や文化庁の審査に関わる人々から、その決定に対する抗議が表明されています。それらの表明は揃って、この決定のプロセスが全く不当であることを明確に説明しています。全額不交付という重大な決定にあたり、任期中の外部審査員からの意見聴取を行わなかったこと、そしてこの決定に際する議事録が存在しないことも明らかになっています。このような振る舞いは、政府の独裁的なあり方を是認するものであり、強く非難されてしかるべきです。私たちは補助金不交付の撤回とともに、この決定に至ったプロセスの外部有識者による検証を強く求めます。このような暴挙を繰り返してはいけません。
 
 

引込線2019実行委員会
2019年10月9日
 
引込線/放射線|Absorption/Radiation
hikikomisen-hoshasen.com

 
 

参考:〈あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」の展示中止に対する抗議声明〉

 

 
 
文化庁による「あいちトリエンナーレ2019」への補助金取り消しに対する抗議声明
 
 
 
文部科学大臣 萩生田光一様
文化庁長官 宮田亮平様
 
文化庁はすでに採択されていた「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金の不交付を決定しました。この決定は、文化事業が違法な脅迫によって中断に追い込まれてしまった事態を文化庁が容認し、さらに被害側である同トリエンナーレを苦しめ、加害側に利するものです。近年のいわゆる「嫌韓」の動きの高まりを容認するようなこの文化庁の決定は、多様で豊かな文化を目指す芸術活動を阻害し萎縮させる行為であり、けっして看過できません。私たち「引込線2019実行委員会」は芸術祭開催に取り組む組織として、また広く芸術活動に携わる個々人として、文化庁のこの決定に対し強く抗議し、撤回を求めます。
 
文化庁の文化芸術推進基本計画は、「文化芸術の「多様な価値」を活かして、未来をつくる」ことを理念として掲げています。世界に多様な価値をもたらすことは、まさに芸術が担う社会的な役割です。そして「多様な価値」を生み出すためには、既存の価値観を批評的に検証していくことが欠かせません。既存のイデオロギーや社会的なタブーを俎上に載せ、さまざまな視点から批判的に検証することは、芸術が「多様な価値」を生み出していくために不可欠です。芸術を構成するさまざまな要素の一部分だけを取り出し、それに対する偏った判断のみを強調することは、文化の多様性を失うことにつながってしまいます。
 
しかし今回の件でもっとも重要なことは、威嚇や脅迫という暴力、そして明確な犯罪行為によって芸術文化が妨害され、中断に追い込まれたことです。文化庁はそのことをしっかり認識しなければなりません。文化庁は、展覧会が計画通り実行できなかったことを補助金不交付の理由の1つとしているようですが、「あいちトリエンナーレ2019」の一コーナーである「表現の不自由展・その後」が公開中断になった原因は違法な脅迫にあるのであって、「あいちトリエンナーレ2019」の運営にあるのではありません。違法な脅迫が引き起こした騒動の責任を、被害を受けた側にかぶせるようなことがあってはなりません。文化庁が守るべきは文化であり、戦うべき相手は文化をおびやかす暴力です。
 
「あいちトリエンナーレ2019」に対する補助金の不交付の決定後、数多くの文化芸術に関わる組織や文化庁の審査に関わる人々から、その決定に対する抗議が表明されています。それらの表明は揃って、この決定のプロセスが全く不当であることを明確に説明しています。全額不交付という重大な決定にあたり、任期中の外部審査員からの意見聴取を行わなかったこと、そしてこの決定に際する議事録が存在しないことも明らかになっています。このような振る舞いは、政府の独裁的なあり方を是認するものであり、強く非難されてしかるべきです。私たちは補助金不交付の撤回とともに、この決定に至ったプロセスの外部有識者による検証を強く求めます。このような暴挙を繰り返してはいけません。
 
 

引込線2019実行委員会
2019年10月9日
 
引込線/放射線|Absorption/Radiation
hikikomisen-hoshasen.com

 
 

参考:〈あいちトリエンナーレ2019
「表現の不自由展・その後の展示中止に対する抗議声明〉

 
抗議声明に関するお問い合わせはこちらにお願いします。
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